トラファルガー・ロー。言わずと知れた、ルーキーの一人だ。
もちろん、原作をばっちりと呼んでいる自分には、彼の姿形も能力も知っている。
死の外科医などと呼ばれて、懸賞金が二億になる、相当な海賊。

…ちなみに…結構好きだったり、する…。















Dramatic...2























「そうだ、名前はなんていうの?」
「私は、だよ、くまさんは?」
「ベポだよ!じゃあ今からキャプテン呼んでくるから、少しだけ待ってて!」
「わかった、ありがとう!」

いいーーーーーこだ!!!
私が笑い返せば、ベポはすぐさまキャプテンの許へと、根の幹を超えてあっという間に見えなくなってしまった。
その速さが、まだ一般的であろうと言えるのかもしれないが、それにしたって恐ろしいスピードだ、くまなのに!(結構大事)
すごい…ギネスなんて余裕じゃないのさ…、

それにしても…、
ベポが見えなくなったことで、改めて現実味を帯びた今の感覚が、とても信じられない。

いやあ…ベポかぁー、まさか本当にこうして喋ってしまうなんて、あの男本物の神様だったんだ!

ざわざわと揺れる心をそのままに、周りを見渡してみれば、ここはどうやら木々に囲まれた少し暗いところの様で、
漫画の時のように明るく光り輝いて見えないシャボン玉たちが、またきれいに漂っていた。
そして、その暗がりの視界に、何度も繰り返し聞こえては、さざめいて流れる葉のささやき、幻想に近い。
日本だって、いや世界中を探したとしても、こんな光景は見られるものではない。

―――いや、それよりも大事な事がある。は、その場に立ちつくしたまま、明るい光景をよそに、焦りを感じ始めた。


これからどうしよう…、ここから、ローさんに会ったとしても、当たり前だが仲間になるはずはないよね…。
最悪の場合ベポすらも戻ってこない可能性もある…(ベポの性格から考えたくないけどローさんの正確ならあり得る!)
もし置き去りにでもされたら…、お金も力も何もない!!殺されるか野たれ死ぬかという道に行きついてしまう。

の心に染み込んだその焦りは…段々と不安と露にしてくる。ベポが優しく、その一時にでもきた事を、喜びとして感じた所為で、
この後の自分がまるで想像する事が出来ない。
その場にいてと言われたのだから、とにかくここには立っていようと思うのだが、
もしローさんがここにきて、自分に何をするのだろうか?


……………うーん、


→1「記憶がない?ほっとけよ」
→2「面倒だな…殺しとけよ」
→3「知らぬ間に殺されてる」



………………うううううう



ううあああさぁぁsだfrtgyふじこlp;@:!!!!!!
不思議じゃないありえる!ぜっっったいにそんな風になる!

「――信じられない!もっと楽なとこに落ちれなかったのかぁ!?」


かみさまぁ!!と、声をあげようとした瞬間、目の前に降り立ったのは、神様では無く、悪魔だった。
は、いくつもの浮遊する姿に目を見張り、声をあげた。

「ひっ…人攫い!!」
「おっ、俺たちの事知ってんのか!なら話は早ぇ!」
「ひとりぼっちの子猫の飼い主探してやるよ!」

信じられない!はこんなにも自分が不運で不幸であったのかと、生まれて初めて絶望した。

突如として現れた、何十人もの男たちが、周りを囲んで、こちらを見ながら笑いかけてくる。
知っているも何も…あんた達が何をしてるかくらい…!!

は急いで脚を飛ばし、逃げようと男たちの乗っている機体の間を潜り抜けた、
とにかく――!どこか人の多い所にでも隠れこんで――、そう、考えを張り巡らせる前に、はまるで赤子のように、一気に腰に腕が周り、体ごと男に掬われてしまった。
その一通りの流れに、一瞬何が起きたか分からなかったが、すぐさま脚を動かし抵抗した。

「はっ、放して!私はただの人間よ!」
「いーんだよ!売れるもんはみんな売っとくのが俺達なんだよ!」
「なにそれ!はなせぇーー!私なんて奴隷にも何にもならないんだからーーー!!」

「まぁ…お前顔とかイイじゃねえか、売れるって!」

――――なんだとう!?
そんなの学校とか結構人気な男子にだったら「ほんと?感激★(まさに某海軍のおねえさまの如く)」とか言えたりするのに
こんなとこで言われて嬉しさなんてこれっぽっちもないぞ!第一さらってるお前の顔に言われてもおおおお!!!(とっても失礼)
私まじで本当に競売にかけられると!?

は言葉の意味が分かっているからこそ、必死でもがき逃げようとした。
すでに機体は走り出していて、落ちたら怪我じゃすまないだろうが、そんな事もいってられない!
腕を抜けようと肘を引いて、なんとかして上手く潜り抜けようとし、声を――!!
「チッ――!!動くんじゃねェ!!」

がんっ、と、声と同じに、針のように首の後ろに衝撃がかかった。
それが、体に抵抗がまるで無駄であるといいかけているようにすら感じ取れ、
もがく手の静まりとともに、瞳が滲んできた、
―――どうしてこんな…

風がまた、頬に抜けて、笑い合う男たちの声が、耳鳴りのように交錯する。

―――お願い、きてベポ…ローさん…!!


―――誰か……助けて!!









「ぎゃあああああああああああ!!!!!」


突然、近くの男から、悲鳴の声が聞こえ、そして下へ下がり、爆発する音が聞こえた。
何が起きているか分からない、は薄く滲んだ瞳の隙間から、なんとか周りの様子を窺おうとしたのだが、自分が見ようと動かした瞬間、
乗っていた機体が、ぐらりと車軸を傾けて、墜落していく!
はとにかく男の腕から逃れようとし、その体を押しのけようとしたら、その体は、自分の力を受ける事もなくだらりと反対側へ傾けていった、
顔を覗けば、なんと頭から血を流し、瞳がもはや死んでいた。瞳孔を曝し、まさにホラー映画に出ているような、その悪夢の姿。
そしてまた自分も、ずるりと機体から落とされていく!
体すべてを男に掴まれていたせいで、まるで自分を支えるものがない。どこかに捕まるという最後の手綱すら、空中では、何も意味を成さなかった。

「きゃあああ!!」

落ちる!二度目!私って本当の本当についてないんだ!!
周りに見える機体の残骸たちと、上っていく火煙の焦げた匂い…
これぞ終わりだ…、そう、感じた瞬間であった。

あれ、? ―――あれって!!

目の前に、まるで廻りと同じような、火のように赤い、その髪の……!!


「―――――キッドさん!!!」




考えるまでもなく、は手を伸ばしていた。
真下に、そして自分と同じようにして、手を伸ばす、その男。


火の中に飛び込んでいくように、彼の赤い、そして真っ黒なコートの中に、落ちて行った。
















































(20090428)