光がまるで世界を包むように破裂を起こした。
見えない一瞬の白い視界、瞼の裏側で、溢れ出すような叫び声が、聞こえた。





















Dramatic...6































「あ”っぎゃああああああああああああ!!」

その一瞬がまるで風のように通り抜けて、は一瞬固まったようにびくりと肩を揺らし、体を強張らせた。
何の音かも知れない、それは爆発にも似た光だった。
固まったまま目を閉じていた瞳を開けると、目の前には、先ほど天竜人を乗せていた、四つん這い男の隣で、 真っ黒に焦げた人間らしく者の姿があった。
目蓋を動かさずに漣の様な痙攣を繰り返し、今にも血を拭いてしまいそうだった。
「チャルロス聖様!!!」
「大変だ!すぐに病院へお連れしなければ!」
「オークションには絶対出ると言っていたのだ!急いでお運びしろ!!」
声は周りの街人からもあふれ出ていた。だれしもが信じられないと言った瞳で、その始終を見つめ続ける…、 その開け放たれた一瞬の輝きに、誰もが目を奪われてしまった。
そう、天竜人は雷に打たれたのだ。恐るべきことに彼たった一人に、まるで直線のギロチンのように下されたその軌跡は、 嵐のようにすべてを巻き込み、そして引いて行った。そのあまりの出来事に、状況を把握することに一拍ほどの 時間をとったが、とたんに男たちは忙しなく彼を運び始めた。私を掴んでいた男に、一人の男が叫びを上げた。
「女は放っておけ!ロズワード聖がお怒りになられる!」
そして男は、その有様にすぐに自分を捨てるよう放り投げ、男たちと病院の手配や、担架の準備に気をやった。
天竜人は擦れるように乾いた唸りを上げて、横になったまま男たちに運ばれていった。 その様子をまじまじと見つめ、彼らがいなくなるまでの沈黙も、やがてはとかれていく、世界がまるで悪夢の死に歓喜したような 色を見せた。その街人たちからは驚きと、安泰と、そして多数の人間の憎さに濡れた愉悦の声が、入り混じって零れ出ていた。
そしてその軌跡に巡り合わせたの方を見て、あいつは運がいいと、誰もが思い、その安心に心を解いていた。

は暫く、緊張と自身のその軌跡の時間に、体を動かす事を困難にさせられた。 けれど、駆け寄ってきたボニ―の腕によって、ようやく氷のように動かなかった関節を溶かし、は初めて口を開いた。
「………う?」
「お前大丈夫か?!いったい何したんだよ!能力者だったのかよ!?」
「いやっ、違うの…」

喜びと、興奮でボニ―は急かす様にに問質した。それは本物の軌跡でも見るかのようだった(確かにこれは奇跡だったのだ) はゆっくりと、仰ぐように空を返した。確かに現実としけ受け取りがたい時間だ。 まるで誰かの意図的な力によって起きたもののようだ。だがこれは――自分の力で起こした訳ではない。
まして自分の意志でもない。ほんの願いのかけら、言うならばそれしか心当たりは無いのだ。
―――、けれど、にはもう一つ。思い当たる節があった。
自分の願いだとしても、こうも軌跡があこるなんて、まるで彼の様だ。
そう、彼と同じように…、この光に助けられて、これはまるで…


「神でもついているというのか…」


――――かみさま!

思わず心のうちでも読まれたのかとは思った。だがそちらを向き、その言葉の当人と眼を合わせれば、 なんとなく読まれているという可能性が、無いわけではないなとも思えた。

「バジル…ホーキンスさん」
「この俺を知っているのか…」
ゆっくりと、彼は自分のもとへ歩いてきた、その後ろにいる黒い、まるで喪服のような団体が、彼と共に近づいてきた。 海賊とは思えないようなその黒い沈黙の姿に、一瞬たじろぎそうにすらなった。
……怖いぞ、これは間近で見るとなかなか……
が一歩足を退いて、見上げるように彼と顔を合わせれば、彼もまた、不思議なものでも見るようにの顔を見つめ返し、一瞬の時間の後に、その口は開かれた。

「不思議だ…まるでこの世のものでは無いかのような…そんな気がお前から感じれる…」
「(なんという痛いところを突くんだ……)」

ぽかりとあけた口のままに、が返すべき言葉に詰る。
ホーキンスさんは読心術でもあるのではないだろうか、 そういう疑いがいくつも重なっていくような気がして、何を言っても的を得た答えが返される気がした。 返答を渋りまごついた口のままに目線を泳がせると、ホーキンスが一度だけの瞬きのあと、追い詰めるように言葉をつづけた。

「お前は…一体、」
「あうあ!そうだあたし友達探さなきゃならないんです!それではホーキンスさん!また!」
「はっ?行くのかよ?!」
「うん!ボニ―、ケーキありがとう!またね!」
「気をつけろよ!」

そう、彼から逃げるとこまで考えていたので、とりあえず誰にもばれないように気をつけないと、そう下手を打たないように口をかみしめた。
―――が、足を駆けたのはいいのだが、先ほど注意を受けた様に、余計な詮索をすると、 また面倒なのと接触しかねないのだと注意していた事を思い出した。
これ以上無法地帯で争いや助けを請うような真似はしたくない。出来るだけ行き先を定められればいいのだが…、
そうが一度考え込むと、自分の脳裏に今までの流れがまるで波の流れのように過ぎ通り、忘れていた事実を、ふとに思い出させた。

今もうゾロ達との会話が流れたって事は…、ルフィ達はシャボンディパークにいるんだ…、

―――って、もうケイミーは攫われてるって事か!!

しまったと、は足を止める。――という事は、もうみんなが探している所なのだ、シャボンディパークは30GRのあたりだから、
ここから然程遠い訳でもない。今から走れば、チョッパー達に1番GRの事を告げれるかもしれない――!

はそう考えたと同時に走り出した。その足は、また軽々と道を越え、風のようにその足に力を込める。
気の幹すらも飛び越えて、幹と幹を遮るように流れる海の前で、これくらいなら飛び越えれる。間に合うかもしれない、そうが思ったとき、その海の流れとともに、目の前を通り抜けたのは、見た事のあるような魚のうねりだった。

「―――ットビウオライダー―!!」

はその後を追った、――水を掻き分け進むその速い動きですら、驚く事ににはそこまでのものと感じなかった。
一瞬の足に弾みをつけて、その機体に向かって飛びこむ。
思った以上に綺麗な弧を描いて、見事に着地してしまった。

ガタンと一瞬の揺れを起こして、前に乗っていた二人が、驚いたように振り返る。

「なっ、なんだよお前!」
「何人のライダーに乗ってんじゃお前!!」

「いいから!1番GRに向かって!!」

二人の言葉を遮りながらに、そう叫び返せば…小さいなりをしたトナカイ…基チョッパーがぱちくりとその瞳をなんども閉じたり開いたりを繰り返して、言葉を返した。

「な、なんでだよ…俺たちは今ケイミーを…」
「ケイミーは1番GRに売られるの!はやく向かって!」

「えっ、ほっほんとなのか?!」
「うん!急いでライダーさん!」

その言葉に、ライダーは一瞬だが躊躇ったが、どの道無闇に探すよりはと進路をそちらに変えて、アクセルを一気にかけた。
それでも、先ほどの自分の足の方が、断然に速いのだが。
そしてライダーが前を向き直し、自分もまた小さいながらに座り込むと、チョッパーがおそるおそるに振り向いて、 そら恐ろしいものでも見つめるかのように、声を尖らせた。

「お前…なんでケイミーを知ってるんだよ」
「あ……え、と…なんか…――――感じたの、」


―――なにいってんだ、自分。

そう、一瞬の受け答えに我ながら恥ずかしい気もしたのだが、案の定、ヒーロー大好きチョッパーには、 どんな感激を受けたのかしれないが、その顔は、明らかに感激と、歓喜と。驚きがないまぜになっていたものだった。 驚きの中に見つけたその助けの美しさ、目の前にいる、それは救いのヒーローとでもいう様な登場の感激。 チョッパーは疑いを持たぬ者だった。だからこそ感激は心を打ち、声は震えそうに揺れた。

「お…俺たちがケイミーを探してるってことが…わかったのか…?!」
「そ…そうさ……!」

「な…なんで…――」

「それはね、チョッパー……」


「私は、君たちをいつも見守っていたからさ……」



すっげえええええ!!
と、一気にいつものチョッパーに戻ったようだが、我ながら頭のおかしい事をしたと、無理やりながらの打開策にやるせない恥ずかしさが広がった。

こんなのにのってくれるチョッパーに感謝…あたしは極端に嘘が下手みたいだ…

そして、その二人の会話を前で聞いていたライダーは、こいつら大丈夫かよとか思いながらに、
に対しての第一印象が”変人”になったのは、誰も知れない話である。







「あっあれが1番GRね!」
が指さして言うと、ライダーはああと声をあげた。
横から止めるように停止し、チョッパーと同じく彼にお礼を告げる。
その時彼の顔が少し不審な様に見えたのだが、は差して気にしない事にした。

その時、向こう側から大きな牛が見え、こちら側によってきた。

―――サンジさんと!デュバルさん!
そう思い、思わず声をかけようとしたのだが、二人は暫く固まった表情の次に、サンジの蹴りによって大声が張り上げられていた。
負けたって、そう聞こえたのだが…、

あ!は原作を思い返し!驚いて声を出してしまった。
チョッパーもサンジに気付いたようで、彼らの方を見ているのだが、それどころではなかった。


―――デュバルごめーーーん!!





悲しくも、デュバルの一番の座を奪ったのは、突然の乱入者、によるものだったのだ。




























































(20090505)