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なんの為に生きてるのって、
それを探すために生きてるんじゃない





















Dramatic...7


























チョッパーたちと船を降りると、すぐにそのあとを追ってサンジさん達もこちらへ走り寄ってきた。
そして自分たちに何かを叫ぼうとする前に、私が彼を見すぎていたせいか、不意に、サンジさんと眼が合って、
「……!一体どうしてこんなところにこんな麗しいお嬢さんが……!!」

(うおお……くどかれたあああ……)

ひとつの矢羽の様に伸びた腕が、丁寧に自分の腕に寄り添われ、目の前に膝まづく彼と改めて目があった。
やっぱりその眉はくるくるしてて、思った数倍、うん。かっこよかった。

「はじめまして…、えっと、」

「サンジ!あのな、この人が俺らをここまで連れてきてくれたんだ!」
「何!本当ですかお嬢さん!いやあ…この美しさにそのような手助けまでしていただけるなんて…俺は感激で…」
「サンジさん!まずケイミーさんを助けないと!」

なんとか遮り声をあげると、あ、とその顔は真面目なのかそれとも本気で忘れていたのか、よくわからない顔で一度眼を開いて、
次に彼が立ちあがったときは、初めに合った時よりも、ずっと格好いい顔つきになっていた。
黒いスーツがだん、と上がり、小さく零した声は聞き取れなかったけど、彼をみたとき、
今までどれほど本気であったのかが、十分わかりえるほどに、強い殺気のような、雰囲気が、一度流れた。

「そうだった…俺はケイミーちゃんを…!!」

そういい入口まで走り出した時、チョッパーと、そしてまたいくつかのライダーの音がして、数分もしないうちに
ナミやハチ、フランキーまでもが集まってきた、そのたび発せられる自分への発問に、いくつかの手間を取ってしまったのだが、
ようするに私は、「ケイミーちゃんが連れ去られるのを見た通り人」という事で話はついた。
みんなはそれどころではないのだから、ありがとうね!と言葉を渡されれば、咬みつくように扉の前に立っている関係者に詰め寄って行った。
私の、小さな仕事が終わった。いや、仕事とも言えない。どちらかといえば、小さな引導をしただけにすぎない。
けれど、そこでみんなには感謝されて、はいさようならとする訳には―――いかないんじゃないかな、

は彼らの後ろ姿を見ながらに、不意に思い立った。
…きっと、いかないじゃない。私がいやなんだ、このまま、ここから立ち去ってしまうのが。

私はこの後、何が起きるか知っている――、売却。乱入。発砲。暴走――…その火種から巻き上がり、血がとび叫び死んでいく…そして、その種を掻き消しにやってくる、恐ろしい使い達…、
もし、それが間違っているのだとしても、ではなんの為に自分はここにきたのか、その理由が、何もわからないままになってしまう。
なんのために動けるのだ、なんのためにあのとき、神様は私を助けたりなんかしたんだ…
まだわからない、助けれるかもしれない。は、暫く遠い背景のように霞んでいた彼らの視線を、改めて見つめ返した。
話し合いでもしていたのか、輪になっていた彼らが立ち上がり、中へを歩み進めようとしていた。
そうだ、彼らは今からあの惨劇を見る事になる。ハチが撃たれる…ケイミーが叫び怯える…、泣きだしたいほどに悔しい事なのだが、
自分にはどう足掻いても、そこまでを食い止める力も、あるいは説得力もない。
まだただの協力人にすぎない人間なのだ。私の言った事が信じてもらえるとは到底思えない。

でも―――もし信じてもらえる事が出来たら…、
彼らの後ろへと足をあげた、滲んでいた輪郭線がやがてはっきりとしていく、彼らはもう漫画の人間じゃない、
その指のさすものは人間であり、かれらが叫ぶのはいつだって言葉だ、台詞じゃない。

ちゃん?貴方も入るの?」

後ろからついてきた自分に気付いたナミは、不思議そうに瞳を寄せた。
自分から死線を覚悟するのなんて初めてだな、と。は苦笑いしそうになる口角をこらえた。

「うん、助けなきゃ」
「いや…でも、貴方は無関係なんだからこんな危ない所に…」
「ごめんなさいナミさん、気にしないで下さい、ケイミーちゃんには借りがあったの」

それに、能力者だよ?私。

そう自慢げに笑って見せる。…なんだ、嘘ってこんな風につけるものなのか。
ナミさん達は、驚いて一度発する言葉をなくしたが、やがて少し焦っているせいもあってか、眉を寄せながらに言葉を発した。
少しそれに不審さが入っているのに気づいて、自分はやっぱり言葉が下手だなって、思った。
きっとローさんとかなら、上手く入り込めたんだろうな、

「力に…なれるのね」
「期待はできないけど、どちらかといえば、要望なの」

それ以上は問質されなかったのが、せめてもの救いだった。
(いや…本当に…未来知ってるなんて言ったら余計怪しまれるし…なんて言えばよかったんだああ…!)


その後はもう止まる事は無く、静かに階段に足を踏み込む音だけがした、
扉が開く、もうきっと、後戻りはできないのだ。
―――そういえば、ボニ―さんは、うまく逃げれたのかな…


そんな事を思いながらに、彼らと中に入り込んだのはいいのだが、はここで、自分がどれだけ大事な事を忘れていたのかを、さまざま思い知らされるのだった。
















「よぉ……奇遇だなあ、女」






































(20090710)