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これなんてエロゲ?

いやうっそ!乙女ゲー?わお


























Dramatic...10







































シャボンディ諸島無法地帯―――





「聞いたか!ルーキーたちが天竜人に手をかけたそうだ!!」

「海軍たちが来る前に出航するぞ!!」


――騒がしい状況は、会場からついに外にいた海賊たちにも伝わってきた。
膨張するように膨らむ緊張と興奮は、波のように様々な海賊たちの耳に届けさせ、ざわざわと先ほどまでばらばらに
戯れていた者たちが、固まってその姿を晒し始めていた。
もちろん名の知れた海賊たちは、億越えというだけの技量はあるにせよ、それぞれに大将格とぶつかりあう事が、どれだけ無謀で面倒な戦いを創るかは、想像する事すら煩わしいと思っていたのだ。
ぞろぞろと消えていく海賊の中で、残った海賊はほんの僅かだったが、それぞれにも意思がありやはり海賊らしいのか、染み出していく血の幕開けの序章に、
立ち会わずにはいられないという興奮が、その足を留まらせていた。



「……は、無事に逃げてんのか」

「ボニ―船長、おそらくこの状況では、確認は難しいものと思われますが、」

「いや、そういう訳じゃねえよ、…まぁ、たぶん避難してるか」

あのバカ一味に巻き込まれてなきゃいいけど――、
そう頭の端で考えたりもするのだが、それが自ら突っ込んで今現在現場の中心にいるとわかれば、
ボニ―は流石に拳を構え、の頭に見舞ってやるのだろう。

「まぁイイ…なんか腹減ってきた」

「今なら食い放題ですね!」

















そんな騒ぎが外や海。ありとあらゆる様々なところから湧き出てきて、ホール状のこの現場にももちろん響いてくる。くるのだが、

今のには、そんな事。本当に心からまったくもって一ミリたりとも気を回す事が出来なかった。
一応、救いなのか気まぐれなのかは知れないが、ローが何も言わずに前を見直したおかげで、二人が何時までも見つめ合っていると周りに気付かれる事は無かったのだが。
は動く事が出来なかった。隣で座り込んだまま、今だ残ってる生ぬるい唇の感触が、心臓の奥に火をつける様に、皮膚のすべてを赤く染める細胞だけが、活発に働き続けていた。
「ぅ…、え………ええ?え?」
「―――っと、あれは”冥王”じゃねえか…」
レイリーと会話をしていたルフィたちには、今の一瞬の出来事は見えなかったかもしれない。
でも、の後ろや目の前に立ってるローの仲間たち…
―――見たよね…絶対見たよね…!?
そんなの焦りと戸惑いを全く気にもとめず、しらじらと前の様子を窺って、この状況でも至って冷静な自称老兵がハチやルフィたちと何かを話している間に、ローはまたこちらに目だけを向けてきた。
まあ誤る気が無いのはわかってますけど!理由くらい聞かせてほしいものだ!
「…ヘタに海賊に近寄ると食われるぜ、人を見た目で判断しない事だな」
「……だ、からと、い、って……」
「なんだ、そっちから来たんじゃねえか」
何その無理やり!唯我独尊本当にありがとうございます!
「こここ…公衆の…面前ですること………??????」

金目鯛も真っ青な赤さであろう今の私の頬!いやもう体全体細胞の血があふれ出て皮膚のぎりぎりまで沸騰している勢いだと思います。本当に。
だって…あの、あ…あのローさんが、目の前にいて、こんなにも触れて、そして、くちびるが…、
思い出す事すら恥ずかしめの一つの様な、あの一瞬。
わなわなと震える唇を押さえ、段々恥ずかしいのか信じられないのか分からない、いろんな感情がこみあげてきて、
涙がじわじわと滲んできた時、ローさんがまた小さく笑った、
「第一、お前ももう逃げられねえんじゃねえのか」
え、

思わず、顔だけで返事をした時、ホールの外側から怒鳴るようなスピーカー音が響いてきた。
海軍が周りを囲んで、もはや臨戦状態で待ち構えているらしい。
今出ていったら間違いなく仲間の一人とも取られて射殺されかねない、口下手で戦闘なんてした事もないにとっては、十二分にあり得ると、はだんだん自分から血の気が引くのを感じていた。
「――完全に共犯者扱いだな、」
ローが別段困った様でもない風な口を開けば、だれも動き出したりしなかったホールの中で、キッドはついに歩き出した。
面倒な大将が来る前に片づけてさっさと出て行きたかったんだろうか。
けど、ただ出ていくだけなら何も起こらなかったのかもしれないが、そこは彼なりの盛り上がりのおまけだったにだろうか、
一言、余計な言葉を吐いてしまったせいで。同じような動物が、癪に障るのも。当り前な話だったのだ。
「表の掃除はしといてやるから安心しな」
――わ、マジでローさん怒っている!
「…ユースタス屋に先は超させねえさ…」
その言葉でローさんは立ち上がり、キッドさんが向かった外へと、同じように足を踏み出し始めた。
丁度向こうでは、ルフィが同じようにして、こちらにずんずんと歩き寄っている。随分二人とも解りやすい事で、ある意味かわいらしくすら思えてしまった。
ローさんは、廊下側に出ていく際に、一度こちら側目線を逸らせ、淡々と言葉を告げて、その後ろで静かに立っていたベポから刀を受け取った。
「ペンギン。逃がすなよ」
「はいはい」
「なんで!」
ペンギンが容易く返事を返したかと思うと、先ほどまでローさんの向こう側にいた彼が、
今度はがっちりと自分の腕を掴んでいる。これは海軍相手並じゃないでしょうか?
…いや、単に自分がしょぼすぎるだけなのかもね、
「なに、ちゃんと出航してから話をしようと思ってな」
「話す事なんてないと思いますが…」
すくなくともローさんとはね!
「ふふ…」
嘲る様に笑う声を最後にすらりと立ち、歩き始めたローさんの後ろ姿が、妙に様になっているのが、これ以上口をはさむ事をとめられているような気にもされて、
おずおずと唇をかんだ。

どうやら三人の船長たちが戦いに出向いたことで、ハートの海賊団の一行も、外に出るつもりらしかった。
茫然として立ち尽くしていられるほどの猶予を与えられる訳もなく、は難なくペンギンに引きずり立たされ(それでも手加減はされているみたいで)、
ぞろぞろと彼らについていく形になってしまった。
けれど、そんな様子が目に付いたのは、今から同じく会場の外に出ようと足を此方側に向けていたナミだった。
彼女は賢いなりにその連れて行かれるの様を理解するつもりではあったが、やはり先ほどまでケイミーを助けようとああも意気込んでいた彼女だ。いきなりあちらの枠に、その上どう見ても無理やりな様子。
ナミはすぐさま上へ駆け上がるゾロ達とともに上がる、その階段の途中で立ち止まっていたたちの前で、不審そうな顔をして、堂々と口を開いた。
「で、はどうするの、色々面倒そうなのに巻き込まれてるみたいだけど」
「出来ればお助け願いたいです…」
「あら、あんなにイイ男の誘いを断るなんてもやる女だったのね」
「そんなんじゃないです!誤解だあ…」

ナミは表向き笑って向き直したが、実際は、が本当に連れて行かれるのかという不信感で、
下手に彼女を連れ戻す手を出す機会を見れなかった。実際。ペンギンはとナミのそんな些細な会話の間すら、
腕に隙を与える事は無かったし、況してや辺に気を許す事もしなかった。
…忠実な訳でもないくせして、これなんていじめ?

「…あんた達の船長さん、随分の事気に入っちゃったみたいね?」
「…元々そちらのクルーでもないんだろ、速いモン勝ちだ、こういうのは」
「だって、その通りよね」

「え?!」
諦めはやくない?!
そう突っ込もうとした顔つきに、一瞬なってしまったものだけど、すぐに冷静を取り戻せたのは、外で聞こえる音の数々に、
どちらの船員もこんなことしてる場合ではないと、視線をすぐ外に向けたからだ。
も彼らに連れられオークション会場から外へと出る。
普通なら、先ほどのスピーカーからして、数百人の兵たちが待ち構え応戦状態に陥っているものだと思うのだが、
彼らと一緒に、普通に正面からでてきても、目の前から人が斬り付けてくる訳でも、何処かに隠れろと怒鳴られる訳でもなかった。
目の前に体ふさがるのは、ここで同じく立ち止まる数々の衛兵を束ねる頂点。その夢を捕まえる歩に立つ船長達――
正面に広がる、ある意味すがすがしくすら思える三人の後ろ姿。数ある兵士たちを纏めて蟻のように薙ぎ払い、
戦いに気を向けるよりも、むしろお互いの力を見せあうかのように披露し、振りかざすその威力に、共々ゾロ達も思わずそこで立ち止まってしまった。
尤も、ローやキッド一向にとっては、何ら差し支えのない戦場の様で、騒いでいる群衆の中でも目立ちのない格好の一つに過ぎない余興でしかないのかもしれなかった。
そして、ついに私を掴んでいた腕が離れる。いつまでも女の見張りだなんて、性に合わないうえ、体が疼くのであろうか。

「俺らも戦わなきゃなんねェからな、ヘタに動くなよ、すぐ死ぬぞ」
ペンギンさんはそう言って、さっさと向かってくる兵に向かって行ってしまった。
急に腕を離されたことで、ふらりと足を崩しそうにもなったが、なんとか近くの壁に手を添え、
はどんどんと戦いに交わっていく近くの船員たちを、おどおどと見送っていた。









































(20090925)